New Generations
邂逅編1
その閃きに惹かれて
AkiRa(E-No.451PL)作


1.憧れと現実の境界
2.少年の放つ閃き
3.敗れし者の涙
4.そして、導かれる直感
〔執筆者あとがき〕


1.憧れと現実の境界

闘技場は、荒々しい喧騒と熱気に満ちていた。
戦士たちの鬨の声、甲高い音とともに打ち鳴らされる武器と武器、飛び交う火球や雷撃の魔法。
見守る観客たちの中にも、手に勝敗予想の賭け札を握り締め、声援に声を嗄らしている者が少なくない。
“虹の王国”の崩壊後、独立した三国の中で最も軍事に力を入れてきた、この“赤の国”センブラで開催される大会だけあって、やはり参加者も観客も気合が入るものらしい。
やや野蛮ともいえる雰囲気ではあるが、そこには勝者と敗者が織り成す物語が確実に存在する。どこか、冒険小説の一場面を思い出させる光景だ。
注目を浴びる選手たちを内心で羨ましく思いつつ、アヤは観客席の合間を一人で歩いていた。

「……もう少ししたら、私もここに立てるかなあ」

彼女は、つい先日認定試験に合格したばかりの冒険者だった。年齢は、今年で二十歳を数える。
幼い頃から本が好きで、中でも冒険小説は愛読書として欠かしたことがない。
自らもその世界を体験したいと考えたのが、この道を選んだ動機の一つだった。

しかし、やはり現実は厳しいものである。
ここより南東に位置する故郷、交易都市トワークから渡ってきたばかりのアヤには頼るべき知人もいない。
当然の如く、パーティを組む仲間など望むべくもなかった。
最低限の武術は身に着けているものの、前に立って戦うほどの自信などない。
このまま一人でいては、冒険に出て物語の世界を満喫することなど夢に終ってしまうだろう。

どうしようかと思っていたところに、この大会の貼り紙を目にしたのだった。
これは国家認定の冒険者たちによる腕試しの武闘会で、彼らの技術向上と交流を兼ねて各地で定期的に開催されている。
自分で参加するにはまだまだ縁遠いが、見に行く価値はあるかもしれない。

さらに、貼り紙の隅には当日の医務室スタッフを募集する書き込みもあった。
医術と治療の魔法を学んだアヤにとっては、うってつけの仕事といえる。
ただ時間を持て余すよりは、少しでも実のあることをしていた方が有意義だ。
そう考えた彼女は、その求人に応じることを決めたのだった。


ふと、会場に設置された時計に視線を移す。まだ、休憩時間が終るまで少々の余裕があった。
幾つか設置された試合場をざっと眺めていたアヤだったが、その中に一対一で向かい合う冒険者の姿を認め、そこで目を留めた。

トーナメント形式で行われるこの大会は、最大四人までのパーティで参加するのが一般的である。
しかし、誰もが仲間に恵まれるというわけではないから、中には三人以下のチームも多く存在する。一人というのも、このように皆無ではない。
人数によって試合の組み合わせは左右されないため、あえて一人で出場するような者は余程腕に覚えがあるか、あるいは無謀であるかだ。運が悪ければ、四対一ということも充分に有り得る。
ただし、今回はたまたま機会に恵まれたようだ。お互いに一人であれば、条件は対等である。
局地的に個人戦となった形だが、人数が少ない分試合の流れは追いやすいかもしれない。四対四となると、展開が目まぐるしくて疲れてしまう。
そう思って、アヤはこの試合を観戦することに決めた。適当な席に腰を下ろし、改めて試合場に立つ二人の姿を観察する。

一人は黒髪を頭の上で一つに括った少年、もう一人は棍を構えた男だった。
互いにやや軽装ではあったが、おそらくは二人とも戦士だろう。

少年の方は小ぶりの盾と剣を携え、鎧ではなく、戦闘用に仕立てられた厚手の服を纏っている。
防御力にはやや欠けるものの、機動性に優れるため冒険者の中にも愛好者は多い。あの少年も、そういった戦い方を武器としているのかもしれない。
対する男も、防具の面では少年とほぼ同様だった。ただ、こちらは盾を手にしてはおらず、長めの棍を両手で支えている。
鍛え抜かれた腕は、男が自らの肉体をも武器として戦う格闘家であることを窺わせた。
素人目にも隙のない身ごなしといい、その実力はかなりの水準に達しているだろう。

二人のうち、とりわけアヤの目を引いたのは少年の方だった。
熟練の戦士と思われる相手を前にして臆することなく、真っ直ぐに前を見据えている。
その様子は、どこか冒険物語に登場する主人公の姿を連想させた。

仕事の際に配られたトーナメント表と選手の名簿を見て、少年の名を探す。
一回戦の中で一対一となっている試合を探せば良かったから、さほど手間のかかる作業ではない。
ほどなく、目的の箇所は見つかった。

――コテツ・オサフネ 十四歳 男

このあたりでは少々珍しいその音の響きに、やや首を傾げる。
「長船……小鉄、それとも……虎徹、かな?」
形そのものが意味を持つ、“漢字”という特殊な文字を頭に思い浮かべつつ、名前にそれを当てはめていく。
“虎徹”――アヤの記憶に間違いがなければ、それは遠い異国にあるという刀の名ではなかったか。
独特の文化を誇るその地には“侍”という戦士たちが数多くいると聞くが、あの少年も彼らの子孫であるのかもしれない。
アヤ自身も、半分近くはそういった血を受け継いでいるはずであった。
彼女が生まれる前に失踪してしまった父が、そこの流れを汲んだ人物であったと母からは聞いている。
この分野におけるアヤの知識は、まだ見ぬ父親に対する興味によるものが大きい。

そろそろ、試合開始の時刻だ。
対峙する二人の戦士。その間に流れる空気が、僅かに緊張を増した。

2.少年の放つ閃き

何事にあたっても、実力と経験は重要である。
コテツに注目した場合、その双方が眼前の男に大きく劣っていることは、ほぼ疑いようがなかった。
だから、アヤの興味は彼がどこまで善戦できるかという、ただ一点にある。
一見未熟と思える少年が熟練の格闘家に勝利できるなどと思うほど、彼女も夢想家ではない。
そんなことは、それこそ物語の世界でしか有り得ないからだ。

審判が、試合開始の合図を打ち鳴らす。
その余韻がまだ鼓膜を微かに震わせている時、それは起こった。

格闘家の男が神速の動きでコテツへと迫り、棍による打撃を連続で叩き込んだのだ。
一撃や二撃ではない。アヤには全てを把握することはできなかったが、少なくとも十発は超えていただろう。
コテツは反応すらできず、棒立ちのままその全てを食らってしまった。
続けざまに直撃を受け、未だ成長期を終えていない少年の身体が大きく揺らぐ。

――絶望的なほど、力の差は歴然としていた。
これでは、奇跡でも起こらない限り逆転など望むべくもない。そして、現実とは厳しいものだ。
コテツが膝をついてその場に蹲るのを視界の端に映しつつ、アヤはもう一度トーナメント表を手に取った。
可哀相だが、もう決着はついている。この場合、相手が悪すぎたのだ。
少しばかり気になる少年ではあったが、仕方がない。
他に興味を惹く試合がないか、アヤがトーナメント表を眺めていると、隣に座っていた観客が小さく声をあげた。

「あのガキ、まだやるつもりか?」

顔を上げると、ふらつきながらも立ち上がろうとするコテツの姿。
剣を構え、顔は真っ直ぐ前へと向けている。その瞳がまだ闘志を失っていないことは、遠目にもはっきりと感じ取れた。
ここで立ったところで、勝ち目のない勝負には違いない。続けても、余計に痛い思いをするだけだ。
しかし、コテツの表情に諦めの色はない。かといって自棄を起こしたのかというと、それもまた違う気がする。
己と相手の力量の差すら測れないほど、愚かであるとも思えないのだが。
心の中で首を傾げつつも、いつの間にか目が離せなくなっていた。

コテツが、雄叫びとともに突進する。
繰り出された剣の一撃を軽く受け流し、格闘家は再び棍を構えた。
直後、嵐のような連撃がまたもコテツに襲いかかる。
兎を狩る獅子の如く、一片の容赦もそこには存在しない。
――今度こそ、これで終わりだ。
しかし。その直後、眼前に繰り広げられた光景に、アヤは思わず目を疑った。

驚くべきことに、先ほどまでとはコテツの動きが異なっている。
同様に直撃を受けてはいたが、その数が明らかに少ない。それどころか、残りの打撃をかいくぐって反撃にすら転じた。
それは格闘家の棍に阻まれてしまったが、この際命中したかどうかは問題ではない。
何しろ、さっきは同じ攻撃を前に動くことすらできなかったのだから。

まぐれにしても出来すぎだ。そう思った矢先、格闘家が三度目の連撃を放った。
今度当たったのは、最初の二撃のみ。残りは、ぎりぎり間一髪でかわしていた。
やはり、ただの偶然などではない。明らかにコテツの動きは速く、鋭くなっている。
偶然や幸運で、こうも変わるものだろうか。

――もしかしたら、これは。

この時、アヤはコテツの中に可能性の閃きを見た。
心の片隅に浮かぶほのかな期待とともに、食い入るように試合場に目を向ける。
しかし、それでもなお壁は厚かったようだ。
如何にコテツの動きが研ぎ澄まされようと、所詮は付け焼刃に過ぎない。熟練の格闘家を相手に、到底通用するものではなかった。
攻撃のほとんどが受け流され、その反撃が一発ずつ、着実に打ち込まれていく。
必死に踏み止まり続けていたコテツではあったが、やがて大きくよろめいたかと思うと、ゆっくりと倒れた。
同時に、試合の終了を告げる合図が響く。

攻撃の構えを解く格闘家を見据え、なおも立ち上がろうとコテツが動いたが、どうやら、気力もとうに限界に超えていたらしい。
何事かを呟くように口を動かした後、彼はそのまま床へと崩れ落ちた。
当然といえば、当然の結果だ。あれだけの打撃を浴びて、無事で済むわけがない。
担架が試合場へと運び込まれ、俄かに周囲が慌しさを増す中、アヤはおもむろに席を立って医務室へと足を向けた。
休憩もそろそろ終る。ここからが、彼女の仕事だった。

3.敗れし者の涙

トーナメントの進行も終盤に近付き、医務室は忙しさのピークを迎えていた。
戦いがあれば、傷つく者がいるのは必然である。
試合は決して殺し合いではないが、大会ともなれば冒険者たちは己が全力を尽くして戦う。それが自らの誇りであり、相手に対する礼儀であるからだ。
死ぬほどの怪我をする者はそうそういないにしても、逆に無傷で済む者もほとんどいない。
所狭しと並ぶ負傷者の合間を縫うようにして、アヤも手当てや治療の魔法に奔走する。

慌しく動き回っていると、奥に並ぶベッドがふと視界の隅に映った。
その一つに、あのコテツという少年が寝かされているのを認めて、足を止める。
確か、彼はアヤが休憩時間を終えたとほぼ同時にここに担ぎ込まれたはずだ。
だとすると結構な時間が過ぎていることになるが、少年が目覚めた様子は未だになさそうだった。
少し気がかりになり、彼を診察していた医師を捕まえて軽く問いかける。

「――あの子、どんな感じなんですか?」
「脳震盪を起こしたってところだろう。じきに目を覚ますだろうさ」

若い医師は、事も無げにそう言うとカルテを手渡してきた。
それに目を通しつつ、アヤはコテツの様子を窺いに奥のベッドまで足を運ぶ。
記載された主な所見は全身の打撲、あとは、頭部への打撃が原因と思われる脳震盪。骨折などは、特に見当たらない。
あの試合から判断すれば、怪我の程度としては軽い部類に入るだろう。
対戦相手の力加減が巧みであったのか、それともコテツが強靭であったのか。おそらく両方であろうと、アヤは思う。

荒削りながらも俊敏な体捌き、頑健な生命力、そして――戦いの中で見せた一瞬の閃き。
もしかすると、戦士としての素質は高いものを持っているのかもしれない。
一人で大会に出場していたことから考えて、コテツが既にパーティを組んでいるという可能性は低い。場合によっては、アヤにとって大きなチャンスになるだろう。
現状の自分の能力を考えると、まずは前線を支えてくれる仲間がどうしても必要になる。如何に回復と治療に優れていても、一人で戦っていては治す暇も与えてもらえない。

――と、コテツの瞼が微かに動いた。
次いで眉を顰めたかと思うと、小さく呻いて薄く目を開ける。
「う……」
「気がついた?」
コテツは少しの間、天井を呆然と眺めていたが、アヤが声をかけるとこちらへ顔を向けてきた。
その髪と同じ漆黒の瞳が、真っ直ぐアヤの姿を映す。
ややあって、彼は頭を軽く振りながらゆっくりと上体を起こした。
眉間に皺を寄せ、忌々しげに呟く。
「……つぅ……頭がガンガンしやがる」
「吐き気とかは?」
アヤが問うと、コテツは黙って首を横に振った。
「そう。じゃあ大丈夫だと思うけど、少し休んだ方がいいわね」

とりあえず、目覚めたからにはもう心配は要らないだろう。
まだ他に患者も多いし、一人にかかりきりというわけにはいかない。
持ち場に戻ろうと振り返りかけた時、俯き加減に考え込むコテツの顔が見えた。
両の拳を握り締め、厳しい表情を浮かべてそれをじっと眺めている。
思わず、アヤは足を止めた。

「どうかした?」
「……何でもねえよ」

不貞腐れたように横を向くコテツ。しかし、その拳は未だ固く握られている。
何となく、こんな言葉が口をついて出た。
「試合、すごかったよね」
「……」
アヤとしては先の健闘を称えたつもりだったのだが、コテツは身体を一瞬震わせたかと思うと、目を合わせようとしないまま俯いてしまった。
上にかけられた薄手の毛布を両手で鷲掴みにして、低く声を搾り出す。
「……いいんだよ、俺だってすぐに追いついてやるんだから」
「?」
何を言われているのかが、よくわからない。
首を傾げるアヤを横目で一瞥すると、コテツは堪らないといった様子で頭を深く垂れた。
「頼むから、そんな目で見るなよ……放っといてくれ」
どうやら、余計な同情をされたと誤解されたらしい。
なおもアヤが口を開こうとしたその時、コテツが弾かれたように怒鳴り声を上げた。

「とっとと行けよ!! いーから……今は一人にしやがれ――ッ!」

言葉に乗せて叩きつけられる、痛みと拒絶。
アヤは黙って踵を返すと、ベッドとベッドの間を仕切るカーテンを閉めて、そっと離れた。

「……所詮は……この程度だってのかよ……畜生ぉ……っ!」

白いカーテンの向こうから、コテツの苦い呟きが耳に届く。
それは、やがて押し殺した嗚咽へと変わっていった。

4.そして、導かれる直感

数刻後、アヤは医務室から外に繋がる出口に佇んでいた。
彼女の仕事は既に終っていたが、患者のうち何人かはまだ中に残っている。コテツも、その一人だった。
落ち着いた頃にもう一度話をするつもりだったのだが、あれから彼はカーテンの奥に閉じこもってしまい、とてもそんな状況ではなかったのだ。
センブラに所属する冒険者の数は多い。名前だけ知ってはいても、駆け出しの少年一人を探し出すのは骨が折れるだろう。
この機会を逃せば、再び会うことは叶わないかもしれない。そう思い、彼女はコテツを待ち伏せすることに決めたのだ。

冷静に考えれば、彼に執着する理由は何もないはずだった。
もっと腕の良い戦士ならば他にもいるだろうし、あのように真っ直ぐ突き進むことしか知らない性格では、付き合うこちらも苦労するかもしれない。
恋愛対象として年下に興味はないから、そういった可能性はまったくもって論外だ。
ならば、何故? ――あえて言うならば、それは直感と呼ぶべきものだろうか。

幼い頃から繰り返し読み続け、そして憧れてきた冒険小説の世界。
コテツの中には、どこかそれに通じる部分が存在するように思えてならない。
彼がこれから紡いでいくであろう物語を、間近で見てみたくなったのだ。きっと、退屈だけはしないと思う。

そんなことを考えていると、やがて奥の通路からコテツが姿を現した。一歩前に出て、軽く声をかける。
彼は怪訝な表情でアヤを見たが、程なくして彼女の顔に思い至ったようだ。微妙に顔を顰めつつ、ぽつりと口を開く。

「――誰かと思えば、お前かよ」
「もう気分はいいの?」
「……放っとけっつったろ」

ぶっきらぼうに言い放ち、顔を背けるコテツの目は赤い。
あの後、しばらく涙に暮れていたのだろう。その態度は、泣き腫らした顔をアヤに見せたくないようにも思える。
足早に通り過ぎようとしたコテツを呼び止めると、彼は苛立たしげにこちらを振り返った。

「さっきから何なんだお前は!? そんなに俺を笑いたいのかよ!?」
「誰もそんな事言ってないわよ」
「じゃあ何だって……!」

怒気も露に突っかかるコテツの視線を軽く受け流しつつ、アヤは彼の顔を真っ直ぐに見て言う。

「――ねえ、私とパーティ組んでみない?」
「は!?」

唐突とも思えるその申し出に、コテツは毒気を抜かれたように口をぽかんと開けた。
これを好機と見て、一気に話を続けていく。
「こないだ試験に通ったんだけど、一人じゃ心細かったのよね。
 それに、戦士だったら怪我を治す役は仲間に必要じゃない?
 私も前で戦ってくれる人がいれば助かるし、お互い悪い条件じゃないと思うけど」
「……」
実際の冒険は厳しい。一人では自ずと限界が出てくるから、単独で旅をするよりは仲間がいた方が良いに決まっている。
コテツも、そういった現実は理解していたらしい。彼はしばし考え込んだ後、軽い舌打ちとともに答えた。
「ちっ、好きにしろよ」

こうなってしまえば、しめたものである。微笑を浮かべ、軽く自己紹介を行う。
「私はアヤ=フローベル・ミモロ。それじゃあ、よろしくねコテツ君」
その言葉に、やや驚いた表情でアヤを見るコテツ。
「おま……どーして俺の名前知ってんだよ」
「どうしてって……そんなのトーナメント表に載ってるじゃない」
当たり前といった調子でアヤが言うと、彼は眉間に皺を寄せてそっぽを向き、面白くなさそうに一言呟いた。
「……ヘンな奴」


――かくて、アヤは一人から二人になった。
この直感が正しいかどうかは、未来の自分だけが知っている。
ただ、この時彼女は確信していた。いつか、コテツがあの閃きを再び見せてくれるだろうことを。
心躍る冒険物語の予感が、アヤの内側をゆっくりと満たそうとしていた――


〔執筆者あとがき〕

ゲーム中の特殊クエスト『御前試合』をモチーフとした、コテツとアヤの出会いのエピソードです。
今回は全編を通してアヤの立場を中心として描いていますが、彼女はなかなかに独特な性質と考え方を持っているキャラクターであるため、そのあたりが苦労しました。
視点となるキャラによって描写も変わっていくのは必然と言えるのですが……それでも、自分のキャラクターをああいう形で言葉に表現するのは結構恥ずかしいものを感じます。
読み返すと、コテツのプレイヤーとしては羞恥心からくる痛々しさに顔が引き攣る場面もちらほら……。
とりあえずは、開き直るしかないということでしょうか。

なお、今回は対戦相手の方も『Material Wars』にて実在するプレイヤー・キャラクターであるため、できるだけ主観が入り過ぎないようにと、ここでも頭を悩ませることになりました。
ゲーム中での試合結果を元に表現を膨らませてはみましたが、そのあたりが上手くいっていれば良いな、と思います。